ザッカーバーグになりたい奴はもっと人間のことを考えろ2

これからの時代、IT系の人間はプログラミング技術だけじゃなくてもっと人間について考えるべきだよねって話の、続き。

前回の記事の続きだよ!

ちょっと長くなっちゃったけど、インターネットが大好きなみんなだったら大丈夫だよね。
”流し読み”した人は、せっかくのザッカーバーグになるチャンスを水に流しちゃうことになるから、注意してね。

もくじ

  1. 「きみはともだちだよね」
  2. 「わくぐみっ」
  3. 「空気を読んで当たり前」
  4. 「枠組みと空気」
  5. twitterのコミュニケーション!」
  6. 「なんでtwitterザッカーバーグなの?」
  7. Webサービスをつくること」
  8. ザッカーバーグは生まれない」
  9. 「えっ?」
  10. 「さよなら〜」


1、「きみはともだちだよね」

ここで、これからの話をわかりやすくするために、ちょっとTwitterから離れてたとえ話をするね。

みんな、小学校でも中学校でも高校でもなんでもいいけど、休み時間中のクラスの風景をイメージしてみて。
教室の中で、いろんな子が、それぞれ仲の良い子たちで集まっておしゃべりしてる風景。
教室って、30人くらいがざわざわするのには、ちょっと狭い空間だよね。
自分は仲良しグループの中だけに向かって話してるつもりでも、狭い教室の中だから、話し声は教室のみんなに聞こえてたりする。

イメージできた?それとも、休み時間はずっと机に突っ伏してたり、イヤホンを片時も耳から外さなかったり、そそくさと教室を立ち去ってたから、わからないかな?

それでも会話がごちゃごちゃにならないのは、
1)自分がコミュニケーションしているのは、2)お話を聞いているのは、3)そして話題を共有しているのは、「いったい誰と誰と誰なのかな?」っていう、
「枠組み」を認識してるからなんだ。
これは肌感覚でなんとなく理解してもらえると思う。具体的にちょっと見てみようか。

1)Aくんは、自分の「やっぱりアニメを観ながら白目剥いてブヒるときが一番生きてるって感じする」という言葉を、BくんとCくんに投げかけていると認識しています。
このとき、Aくんが思うコミュニケーションの「枠組み」の構成員は、A・B・Cになる。

2)一方でBくんは、Aくんのうしろにちゃっかり座って話を聞いているDくんも、「枠組み」の中にいると認識している可能性もあります。
このとき、Bくんが思う「枠組み」の構成員はA・B・C・Dになる。

3)さらにCくんは、話を聞いているようにみえて実は、夕暮れの放課後、憧れの先輩にいきなりキスされて「クラスのみんなには、ないしょだよ?」と言われたことをぼーっと思い出していました。
このとき、Cくんが思う「枠組み」の構成員は、自分以外のA・B・Dになる。他人ごとってことだよね。自分はコミュニケーションに参加してないと思ってる。

具体的にイメージできたかな?
そう、コミュニケーションの「枠組み」って、それぞれが勝手に想像してるだけなんだよね。
そこに決まったルールや不文律があるわけでもないし、全員が同じ枠組みを認識しているとは限らない。
あくまでも「自分が勝手にそう思っている」だけなんだ。

だから、何人かで集まってお喋りしてる「グループ」は、けっこう入れ替わったりして、流動性があったりする。
たまに、右側のグループのおしゃべりに参加してた子が、左側のグループに飛び入り参加したりすることってあるよね。
「ん?それ知ってるよー」「まじでー」「えーなんのはなしー?」
そんな感じで、いつの間にか右側と左側で2つあったグループが、混ざり合って1つのグループになったりする。
だって、固定されてないから。
だって、「枠組み」っていうのは、勝手に他の人をに取り込むことが可能なものだから。


2、「わくぐみっ」

これって、twitterに当てはめるとおもしろいことにならない?
「教室」っていうのを、TLに置き換えてみて。

自分は仲良しグループの中に向かって話してるつもりでも、狭い教室の中だから、話し声は教室のみんなに聞こえてたりする。
それでも会話がごちゃごちゃにならないのは……そう!そういうことなんだよね。
ユーザーがそれぞれが勝手に、自由に「枠組み」を決められるからだよ。

ユーザーは、自分の発言がタイムラインに現れた瞬間に、
1)そのタイムラインという大きな「枠組み」
2)自分の発言を見てくれているかもしれない他者から見た「枠組み」
3)なんとなーく自分が考えている「枠組み」
などなど、いろんな「枠組み」を意識したり、しなかったりしながら、自由に発言ができる。

枠組みを意識した場合の一番わかりやすい例は、空中リプライだよね。
みんなが話題を共有する「祭り」状態になったら、もう発言が全部空中リプライみたいになっちゃうことってよくあるよね。
これは、大きな「枠組み」に向かって発言してることになる。
でもね、twitterは別に枠組みなんて別に気にしなくてもいいんだよ。というよりも、「枠組み」が多すぎて意識できないんだ。

だってタイムラインはみんなバラバラだから。
だってあの人の「なう」と自分の「なう」は違うから。
だってmixiとかfacebookみたいに固定化された閉鎖的なともだちの輪じゃなくて、流動的で、刹那的で、「自由」だから。

思い出して?tweetの和訳は「つぶやき」。つぶやきって、ひとりごとなんだよね。
ひとりごとっていう言い訳、最高だよね。
「あーおなかすいたなーお昼食べに行きたいなータコライスの美味しいお店知ってるんだけどなー誰かいっしょに来ないかなーひとりごとだけどー!!」
みたいな困ったちゃんが大量に発生してるのがTwitterなんだよね。
なんちゃってメンヘラ&構ってちゃんのみんな、そうでしょ?


3、「空気を読んで当たり前」

みんな、「空気を読む」って言葉、覚えてるかな?
今でこそ、「日本の悪いところだ!」「非合理的だ!」って言われてるけど、ちょっと待って。
変なイメージがついちゃっただけで、これってコミュニケーションにはぜったい必要なことだと思うんだ。

「空気を読む」っていうのは、
1)いま自分が置かれている場面は何かな?
2)ここで起こっていることは何かな?
3)その中で自分はどのような存在として振舞ったらよいのかな?
4)その場にいる人をどのような存在として扱い、どのような言葉を発したらよいのかな?

っていうのを考えること。
これも「空気を読む」って、言えないかな?
「自分を空気に適応させる」って言ったほうがわかりやすいかもね。
ここではかっこよく、アイデンティティをチューニング」とか言っちゃおうかな?

例えば電車内でいきなり「俺を殺そうとするのはお前か」と叫んで相手に殴りかかったら、それはいけないことだよね。
例えば教室でいきなり「ママーーーーーッ!!!!」と叫んで立ち上がったら、それはおかしいことだよね。
っていうかただの危ない人だよ。異常者がはびこるインターネットでは日常的に行われているかもしれないけど、現実世界でやったらこわいよ?


4、「枠組みと空気」

twitterでは、場合の数みたいに、それこそ無限に近いたくさんの「枠組み」が存在していることになるよね。
だって、どこからどこまでがグループなのかさっぱりわからないし、話題の共有だってあやふや。
そういう空間に向かって発言を投げるときに、私たちユーザーは無意識のうちに「アイデンティティのチューニング」をすることになる。それも、ちょっと不思議なチューニング。

なんで不思議かって?
それは、ツイートは便宜上「ひとりごと」だってことと大きく関係しているよ。

ひとりごとだから、別に他人を気にしなくてもいい。
っていうよりも、そもそも誰が読んでいるのか、そもそも読んでくれているのかすらわからない空間に発言を投げるわけだし、「それでたまたまふぁぼってもらえればいいや。」って、そんな感じだと思うんだよね。

でもふぁぼる側からすれば、その人の発言をしっかり見て、読んで、「枠組み」の中に入れて、ふぁぼというメッセージを相手に送っている。

そう。twitterでは、めんどくさいしがらみを全く気にせず、自由にコミュニケーションができるんだ。

自由に「枠組み」を設定できるし、
自由に「アイデンティティのチューニング」ができる。
それを手助けするのが他者からのフィードバック。ふぁぼ、RT、フォロー、などなど!

twitterはいろんな使い方ができる。twitterは自由。
これは、コミュニケーションの観点からみてもあながち間違ったことじゃないんだよね。


自由に、好き勝手に枠組みを構成できる「つぶやき(ツイート)」という形式と、
好き勝手にできすぎてしまうからこそ、悪い意味での「空気を読む」ことを回避することができる。
そして、自分が好きな「枠組み」に対して、自由に「チューニング」することができる。
これって、すっごい楽だよね。

前回の記事で話したことと一緒に考えてみると、もっとイメージしやすくなるし、おもしろいことに気付くよ。
twitterが大好きで仕方のない人は、ぜひ考えてみてね。


5、「twitterのコミュニケーション!」
ここから先は、ちょっとだけ難しい内容だから、飛ばしてもおっけーだよ!

 タイムライン上では、ユーザー(と、彼らの多重化したアイデンティティ)同士のゆるやかな「枠組み」(インターネット上では、「クラスター」ということばで持って語られる)を恣意的に組み立てることもできる。タイムラインという自己と他者を含めた大きな「枠組み」の中に、他者同士の「枠組み」を認識してもよいし、そこに自分を加えてもよい。タイムラインという「枠組み」、そしてインターネット全体(自分の認識の範囲外、たとえばfollowing外から他者がやってくるかわからない)という大きな「枠組み」の中では、私たちはその「枠組み」の構成と認識を自由に行うことができる。そこには明確な「枠組み」は存在せず、ユーザーが感じたまま、他者(つまり「枠組み」を構成する要素、断片)を組み合わせることが可能であり、自らが認識した「枠組み」に沿った「チューニング」を容易に行うことができる。そしてそうしたさまざまな「枠組み」に合わせて自分を駆動させる、いろいろな場面・空間・クラスターに向けてチューニングしたユーザーのアイデンティティは、前述の通り、自らの発言が他者と並び可視化されること(私はここにいる、という実感)とそれに対するフィードバック(あなたは私を見ている、という実感)の相互作用によって、スムーズに醸成されている。
 社会・場面・空間などの「枠組み」、そしてアイデンティティ。これらを認識しやすいシステム設計を持つtwitterは、まさにユーザーそれぞれにおける強烈なメタコミュニケーションによって成り立ち、そこにいる人々の「枠組み」と自己アイデンティティの維持を手助けしているといっても過言ではないだろう。
 私たちが日常生活の中で無意識的に行っている、「チューニング」そして「枠組み」の認識は、タイムラインという設計によって可視化された。またユーザーのアイデンティティは、1)発言に付随するアイコン画像とIDによって明確に他者の「枠組み」の中に出現し、2)そしてそれを見た他者からのフィードバックを受信することによって維持させられている。こうしたtwitterの性質は、人々に、より自己と他者、そして社会における「チューニング」を強烈に意識させることになる。
 Twitterは、そのウェブサービスの基本設計と、ユーザー同士の相互作用によって出現したそのアーキテクチャ的性質によって、コミュニケーションに必要な作業や意識の負担を軽減または補助することにより、人々のコミュニケーションを安楽にしているのではないだろうか。

難しい話はここまで!次にいきましょう!


6、「なんでtwitterザッカーバーグなの?」


おまたせしました!ちゃんとここまで読んでくれた人だけがゲットできるステキ情報だよ!
文章を読む忍耐力がない人はここまで辿りつけずに諦めちゃったかな?
もったいないなー。今まで書いたのはただのサービスで、ここからがいちばん大事なのに。

今、インターネットでみんながしているのはコミュニケーションなんだよーってことは、なんとなくわかってると思う。
コミュニケーションは楽しい。例えそれが無駄で不便で意味が無くても、楽しい。だから人が集まって、人が動く。

ソフトウェアやハードウェアのめまぐるしい発達によって、インターネットユーザーは以前よりも爆発的に増えているよね。
人が集まってるってことは、そこでコミュニケーションが発生してるってことだよ。

例え君が私の前に来て一言もしゃべらなくても、それは立派なコミュニケーションだよ?
だって、君がただそこにいるだけでも、「君が私の前で黙っている」っていうメッセージを、じゅうぶんに伝えてるから。

IDをもってインターネット上に現れた瞬間、その人はいろんな人にメッセージを伝えていることになる。コミュニケーションしていることになる。
もちろん、メッセージを受け取り続けるだけの(たとえばROM専とかね)人もたくさんいた。昔は。
でも今は、twitterFacebookが広まることによって、インターネットでコミュニケーションするハードルがぐっと下がって、みんながみんなネットでIDを持って発言するようになった。
インターネットが楽しいことにみんなが気付いた。

一度楽しいってことに気付いたら、もうやめられない。インターネットでコミュニケーションすることから逃れられない!
毎日毎日他人のメッセージを貪り尽くして、自分も口からどんどんメッセージを出して!まるで中毒者みたいにコミュニケーションして!
そうだよね、twitterユーザーのみなさん。
私言ったよね?
「コミュニケーションキチガイのみんなだったら、きっと納得してくれると思うんだよね」って。


7、「Webサービスをつくること」

Webサービスをつくることは、コミュニケーションをつくることに似ていると思うんだ。
例えばtwitterFacebook。これは独自のソーシャルグラフを獲得しているよね。
それ自体がとっても大きなソーシャルグラフをもっていて、そこで人間がコミュニケーションしている。

Gumroadとかfoursquareは、そういった既存の大きなソーシャルグラフを拡張しているサービス。
それって、ユーザー同士のコミュニケーションを拡張していることにならないかな?
 
こういうサービスは、既存のコミュニケーションに衝突せず、かといって埋もれない、新しくて、楽しいエッセンスを私たちのコミュニケーションに加えてくれるよね。

twitterは、対面的現実との緩やかな連動性が大きいメディア」だよって、前回言ったよね。
foursquareは、そういうtwitterのコミュニケーションの性質とぴったりマッチしてるんだ。
「I'm at リナカフェ」って行った方がわかりやすいかな?
一度出会ったら、次からはともだちだよね。

サービスをつくるっていうのは、コミュニケーションをつくるということ。
コミュニケーションの楽しさとは、数字では表すことのできない、とても人間的なものだということ。

楽しさを提供するためには、「楽しいこと」について考えなければならない。
プログラミング技術だけでは語れない、もっと、人間のことをもっと考えなければならない。
楽しいことを考えるのって、大変だけど、楽しいよね!

8、「ザッカーバーグは生まれない」

大きなソーシャルグラフが、コミュニケーションが発生する場所が無かった時代なら、大きなSNSはみんなに歓迎されたかもしれない。
でも、今、もうあるんだよね。
twitterとかFacebookとか、とっても大きなソーシャルグラフが既に構成されてしまっている今、そのコミュニケーションを邪魔しないサービスか、あるいはもっと画期的なコミュニケーションとソーシャルグラフを提供するサービスを目指すしかないんじゃないかな。

だから、twitterの楽しさについて考えたんだ。
今みんなは、何に夢中なのかっていうこと。
twitterっていう場所で、一体何を楽しんでいるのかということ。
そういうことを考えると、自然と”うまくハマるような”イデアが思いつかないかな?

長くなっちゃったけど、言いたいのはそういうこと。
とりあえずユーザーアカウントはtwitterOAuth認証でやっちゃえばいいかーとか思って開発すると痛い目みるよ。
あなたのWebサービスは、twitterの良い所を活かしきれてないばかりか、台なしにしてる可能性だってあるんだからね。
だから、人間のことについてもっと考えなきゃいけないって言ってるんだ。
使いやすさやわかりやすさだけじゃない、人間がどこに楽しさを見出してるのかをもっと想像しないとね。
話はそこからだよ。


10、「えっ?」

なんで自分でザッカーバーグにならないのかって?
だってTumblrでリブログするので忙しいし、twitterでTLに張り付いてなきゃいけないし、
その上アニメも観なきゃいけないんだよ!?

私にはそんな暇ないよ〜。


11、「さよなら〜」

どうかな?技術の話でいっぱいなコミュニティの中で、こういう視点は新鮮だったかな。
でも、技術をもった人にこういう視点が加われば、無敵だと思うんだよね。
ザッカーバーグになりたい人は、創造力だけじゃなくて、想像力も必要だってこと。
人間のことを考えてこそ、真のクリエイター!なんちゃって。
もっともっと楽しいインターネットになってほしいな。

機会があったら、今回みたいな感じでTumblrの楽しさについても書いてみたいな。

twitter @itopoid もよろしくね。みんなとインターネットしたいな。